抄録
ナスの促成栽培における暖房コストの削減を目的として,主枝の株元部分の茎の加温が収量および品質に及ぼす影響を検討した.電熱線を用いて主枝の株元部分の茎を加温することにより,側枝の成長および果実の肥大が促進され,収穫果に占める不良果(曲がり果,首細果および細果)の発生が減少して1~6月の商品果率が向上した.これらの要因により,株元加温区は無処理区と比較して1~6月の収穫果数が多くなり,商品果収量が増加した.また,最低気温を10℃で管理したハウスで株元加温した区の商品果収量は,最低気温を12℃で管理したハウスの無処理区と同等であった.これらの結果から,ナスの促成栽培では株元加温により暖房コストを大幅に削減できることが示唆された.