樹勢の異なるイチジク(Ficus carica L.,‘桝井ドーフィン’)に対し,不織布マルチの被覆とかん水が樹体の生育と果実品質に与える影響を検討した.不織布マルチは着色良好で糖度の高いイチジクを生産できるものの,いや地条件下やかん水量の少ない樹勢の弱いイチジクに対して行うと,一層樹勢を弱め,小玉果や変形果の発生を助長した.一方,密植栽培で樹勢の強いイチジクに対して不織布マルチをする場合,pF 2.5程度を維持できれば,密植樹の樹勢を抑制でき,収穫時期も早まるとともに果実品質も向上することが明らかになった.