園芸学研究
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栽培管理・作型
日没の時間帯からの短時間の昇温処理がスプレーギクの生育,開花および切り花品質に及ぼす影響
川西 孝秀島 浩二林 寛子道園 美弦久松 完
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2012 年 11 巻 2 号 p. 241-249

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抄録

スプレーギクにおいて,冬季の加温コスト低減を目的として,日没の時間帯からの短時間の昇温処理(以下,EOD-heating)の適切な処理法とその効果について検討した.‘セイプリンス’および‘レミダス’を用いて,栄養成長期,花芽分化期および花芽発達期の各生育ステージにおけるEOD-heatingの処理法を検討した結果,栄養成長期では,日没の時間帯~3時間17°Cとし,その後朝まで9°Cとすることで,処理期間中の生育はやや劣るものの,夜間15°C一定管理と同等品質の切り花が得られた.同様に,花芽分化期では,日没の時間帯~7時間20°C,その後13°C,花芽発達期では,日没の時間帯~3時間17°C,その後11°Cとすることで,それぞれ18および15°一定管理と同等品質の切り花が得られた.また,これら各生育ステージの処理を組み合わせ,21品種でEOD-heatingの適応性を検証した.その結果,到花日数は,EOD-heating区では慣行区と比べて8品種で同等となり,13品種で有意に増加したが,そのうち11品種の増加日数は3日以内であった.また,品種によって切り花長,切り花重および花序数の減少や花首長の増加が認められたものの,19品種において秀品の規格を満たすものとなった.これらのことから,夜間の温度管理技術として,燃料消費量の削減が見込めるEOD-heatingを利用できることが示された.

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© 2012 園芸学会
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