抄録
緑植物春化型の植物であるネギの花芽分化に及ぼす苗の大きさおよび葉数(発芽からの本葉の出葉数)の影響について,‘金長’,‘浅黄九条’,‘長悦’および韓国在来の‘金陵’を用いて検討した.露地に秋播きした実生の自然条件における花芽の分化・発育と植物体の大きさとの関係を経時的に調べたところ,各品種とも葉鞘径などの植物体の成長や葉数の増加が一時的に停滞する相転換期があり,花芽分化する時期に重なっていた.この時期における苗の葉数は,‘金長’においてはいずれの播種時期でも約5で,播種時期に関わらず安定していた.‘浅黄九条’,‘長悦’および‘金陵’でも同様の傾向がみられた.これらのことから,ネギの花芽分化における分化可能な最小の生育量の指標としては,葉数を用いるのが適切であると考えられた.