抄録
効率的なマンゴー炭疽病の防除を目的として,従来の温湯処理(HWT)よりも処理時間が短い短時間温湯処理(SHWT)が,炭疽病防除効果および果実品質に与える影響について検討した.In-vitro試験において,炭疽病原菌のC. gloeosporioides(Cg)胞子は,60℃,5秒で発芽が抑制された.マンゴー果実にCg胞子を接種し,SHWT(60℃,30秒および60秒)を行ったところ,防除効果が認められた.さらに30秒前後の防除効果について検討したところ,SHWTは60℃,40秒処理において,HWT(52℃,20分,処理後水冷10分)と同等の防除効果を示した.SHWTによる果実品温上昇は,HWTと比較して小さいことから,WHT後に行われている処理後の冷却は不要であると考えられた.官能評価では,室温貯蔵5日目における果皮の香りおよび光沢は,SHWTが無処理より低く評価されたが,果肉の香りと味には差がなかった.