園芸学研究
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栽培管理・作型
北海道オホーツク地域のグリーンアスパラガス伏せ込み促成栽培における 10月掘り1年生株の若茎収量
地子 立午来 博門傳 千香子荒木 肇
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2012 年 11 巻 4 号 p. 491-495

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抄録

北海道オホーツク地域での促成栽培によるグリーンアスパラガスの11月出荷を目標に,2010および2011年に1年生株の掘り取り時期が収量性に及ぼす影響について調査を行った.本研究では圃場で養成した‘UC157’の1年生株を10月上旬,中旬および下旬に掘り取った.根株生重については年次間で変動が見られたものの,根株生重と根中Brix(%)に3回の掘り取り時期による有意な処理間差は認められなかった.一方,温床での収量性については掘り取り時期による有意差が認められ,規格内収量,総収量ともに10月下旬掘り区が他の処理区よりも高かった.特に2010年10月下旬掘り区の規格内収量は上旬区,中旬区と比較して3倍以上高かった.これらの結果は,掘り取り時期により生じた収量性の差が1年生株の休眠性に起因していることを示唆し,10月下旬掘り区での多収はこの時期までに休眠が打破されたことを意味していると考えられた.10月下旬までに‘UC157’の1年生株が5℃以下に曝された積算遭遇時間はそれぞれ2010年が110時間,2011年が130時間であった.2か年ともに10月下旬掘り区の収穫が11月中旬より開始されたことから,近い将来,北海道オホーツク地域の促成栽培は国内における11月のグリーンアスパラガス生産を可能にすると期待された.

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© 2012 園芸学会
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