2012 年 11 巻 4 号 p. 485-489
六倍体カキ品種‘富有’を無核化することを目的に,九倍体系統の花粉を用いた受粉が,結実と果実品質へ及ぼす影響を調査した.九倍体系統の花粉には発芽能力が認められた.九倍体系統の花粉を受粉した果実の結実率は,六倍体品種‘禅寺丸’の花粉を受粉した場合に比べて低かったが,花粉遮断したものより高かった.九倍体系統の花粉を受粉して形成された種子の成長は,満開44日後に当たる6月下旬頃までは正常に成長したが,その後成長が停止した.九倍体系統の花粉を受粉した果実の重さや糖度,果皮色は六倍体花粉区と差はなかったが,果肉中の褐斑が少なく,果肉硬度が低かった.九倍体系統の花粉を受粉した果実中の種子の大きさは,すべて不完全種子であったが,九倍体品種である‘平核無’のものよりも大きかった.