園芸学研究
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育種・遺伝資源
メロン果実の果形と糖度に及ぼす単性花性の影響
坂田 好輝吹野 伸子小原 隆由杉山 充啓吉岡 洋輔
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キーワード: 育種, 両性花性
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2013 年 12 巻 1 号 p. 15-22

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抄録

単性花性のメロンは,採種コスト低減などのいくつかの利点を有する.しかし,単性花性への育種に際しては,果実の縦長化および低糖度化の懸念がある.そこで,アールス(系)の両性花性品種と単性花性系統との交雑後代,さらに遺伝的背景が近い両性花性系統と単性花性系統を用いて,果形,糖度などに及ぼす花性の影響を検討した.両性花性を示す交雑後代F2に比べ,単性花性のF2の果形は縦長化し,また,糖度は低下した.しかし,F2における個体ごとの果形や糖度の分布は幅広く,ほぼ球形の個体や糖度が高めの個体も認められた.また,単性花性遺伝子のホモ接合とヘテロ接合が表現型に及ぼす影響は,糖度ではやや認められたものの,果形や他の形質ではほとんどなかった.さらに,単性花性系統および両性花性系統の糖蓄積パターンに大きな違いはなく,単性花性系統が特に晩生化することもなかった.これらの結果から判断すると,分離集団を大きくすることにより,球形で高糖度な単性花性個体の選抜は可能であると推定された.一方,単性花性メロンは,縦長の果実となりやすいものの,その果実は大きく,果肉も肉厚であることから,業務・加工用としての利用価値は高いと考えられた.

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© 2013 園芸学会
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