園芸学研究
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育種・遺伝資源
カキ渋用品種‘天王’ガキの形態的特性と果実の発育に伴う2,3の成分変化ならびに採取後のエチレン生成
塩崎 修志佐山 昇平今井 敬潤岩本 將稔今堀 義洋
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2013 年 12 巻 3 号 p. 235-243

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抄録
京都府南山城地方において,カキ渋用として果実が利用されているカキ‘天王’の品種特性を明らかにするために,‘平核無’を対照として花器と葉の形態的特徴ならびに果実の成長に伴うタンニン,糖および有機酸含量の消長を調査した.また,カキ渋用果実の生理的特性を明らかにするために,採取後の果肉硬度,エチレン生成量および水分喪失の変化を調査した.‘天王’は雌花だけを着生し,そのサイズは非常に小さく,花を上部から見たときの萼は細十字の形態を示した.‘天王’の成葉は小さく,長楕円形であった.‘天王’果実は球形で小さく,満開19週後の果実新鮮重量は‘平核無’果実の約37%であった.カキ渋用果実採取期である満開15週後の‘天王’果実に含まれるタンニン含量は,‘平核無’の約1.8倍であった.‘天王’果実に含まれる糖と有機酸の組成は‘平核無’と差異はなかったが,満開15週後では,‘天王’果実の糖含量は‘平核無’より低く,一方,有機酸含量は‘天王’の方が高かった.満開15週後に採取された‘天王’果実の果肉硬度は‘平核無’より高かった.採取後9日間の果実からの水分喪失は‘平核無’より大きかったが,果実からのエチレン生成量は‘平核無’より低かった.
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© 2013 園芸学会
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