園芸学研究
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収穫後の貯蔵・流通
ブラッドオレンジとハッサクのす上がり果判別における音響振動法の適用
文室 政彦堀川 勇次櫻井 直樹
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2014 年 13 巻 4 号 p. 365-370

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抄録

カンキツのす上がり果の判別に音響振動法の適用を検討した.ブラッドオレンジの凍結によるす上がり果は弾性指標が健全果より有意に低かった.す上がり程度との関係は認められなかった.す上がり程度が高いほど果実比重は有意に低下した.果実比重と弾性指標との間に,比較的高い正の相関が認められた.す上がりが見られない弾性指標の最小値(閾値)を80 × 105とすると,す上がり果の判別率は約70%であった.比重法によるす上がり果の判別率は,閾値を0.88とすると約78%であり,弾性指標より若干高かった.ハッサクでは,初期の生理的す上がり果は健全果よりも弾性指標が有意に高かった.果実比重はす上がり程度が高いほど有意に低下した.ブラッドオレンジでは,可溶性固形物含量は,す上がり程度による差がなかったが,クエン酸含量はす上がり程度の高い果実が健全果より低かった.ハッサクでは,可溶性固形物含量は,健全果がす上がり程度の高い果実よりわずかに高かったが,クエン酸含量はす上がり程度による有意差が認められなかった.以上の結果,音響振動法は改良によって凍結によるす上がり果および生理的す上がり果の判別に適用できる可能性があることが示された.

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