園芸学研究
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収穫後の貯蔵・流通
氷点下貯蔵終了後のニンニクの根,芽の伸長を抑制する高温処理条件の探索
山崎 博子庭田 英子矢野 孝喜長菅 香織稲本 勝彦山崎 篤
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2014 年 13 巻 4 号 p. 371-378

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抄録

ニンニクりん茎は周年出荷のため約−2°Cで長期貯蔵される.貯蔵終了後の常温条件では根や芽が伸長し,商品価値が低下するため,これを抑制する目的で高温処理が行われる.りん茎の内部温度を48°Cで6時間維持する従来の高温処理条件は障害を引き起こすなどの問題があることから,本研究では,より実用性の高い処理条件の探索を行った.収穫・乾燥後の8月から−2°Cで異なる期間貯蔵したりん茎に40~50°Cと4~48時間の条件を組み合わせた26通りの高温処理を行い,15°Cで4週間保管後の根,芽の伸長を調査した.10月出庫時の処理では,全26区のうち根および芽の伸長はそれぞれ5区,3区のみで抑制されたが,4月出庫時の処理ではそれぞれ26区,15区で抑制された.伸長抑制効果は処理時間の延長によって高まる場合が多かった.一方,処理温度の上昇は効果の向上につながらない場合が多く,12月に出庫したりん茎の根の伸長は46~48°C処理より40~44°C処理で強く抑制された.9~6月まで約1か月間隔で出庫したりん茎に対して,41°C・12~48時間および従来法に相当する48°C・8時間の高温処理を行い,実用性を比較した.41°C・12~48時間処理は48°C・8時間処理に比べて広範囲の処理時期において根の伸長抑制に有効であった.41°C・48時間および48°C・8時間処理では時期によっては障害が発生したが,41°C・12~24時間処理では障害は発生しなかった.これらの結果から,41°Cでの高温処理は伸長抑制効果および障害を回避できる安全性が高く,従来の高温処理よりも実用性に優れることが示された.

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© 2014 園芸学会
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