抄録
‘平核無’(Diospyros kaki Thunb.)を接ぎ木した定植後11年目の‘MKR1’,強勢台木であるヤマガキ実生(共台),台木aおよび‘平核無’自根樹における個葉の光合成速度を,2013年の5月2日,5月6日,7月11日,8月6日,8月15日および9月26日に,朝から夕方にかけて測定した.各測定日における個葉の光合成速度の平均値は,台木間に有意な差はなく,総光合成産物量は,他の台木樹と同等であると考えられることから,カキにおいて‘MKR1’台木樹がわい性を示す原因は,葉の光合成速度が低いことによるものではないことが明らかとなった.なお,光合成有効照射密度(PAR)が2000 μmol・m−2・s−1を超えた時は,いずれの樹も光合成速度の低下する傾向が認められ,光阻害が生じていると考えられた.‘MKR1’台木樹の光合成速度は,5月6日の14時に著しく低下し,他の台木樹より有意に低くなった.これについては,‘MKR1’台木樹は他の樹と比べて,わい化して葉量が少なく,葉に強光が当たりやすいため,光阻害が生じやすい可能性が考えられた.