抄録
イチゴ品種‘福岡S6号’促成栽培の早出し作型において,定植後の気象条件に左右されることなく,安定した生産・出荷を実現するために,第一次腋花房の開花遅延を軽減することができる方法について検討した.第一次腋花房開花遅延の軽減は,低温暗黒処理により頂花房を分化させた後ただちに定植せずに,育苗を継続(育苗延長処理)することによって可能であった.育苗延長処理時の条件は,遮光率50%の寒冷紗被覆下で3週間程度育苗し,その期間中,IB化成を2 g(窒素200 mg)施用することであった.この方法により,‘とよのか’よりも第一次腋花房の出蕾・開花がかなり遅い‘福岡S6号’においても,第一次腋花房の開花遅延の軽減とそれによる生産・出荷の安定化や平準化が可能と考えられた.