抄録
促成トマト栽培では,低温による生育速度の低下や生理障害を回避するため加温が行われているが,福岡県におけるハウス内の昼温は生育適温を下回ることが多い.本実験では,日中の加温が商品果収量に及ぼす影響について検討した.1~2月の日中にハウス内の気温を20°Cに加温し,昼温を高めることで,開花間隔ならびに果実の成熟期間が短縮され,奇形果が減少して商品果数が増加した.さらに,日中加温処理期間中に開花した果房において果実肥大が促進された.光合成速度が速まり物質生産が増加するとともに,果実への転流が増加して果重が増加したと推察された.これらの要因により,4~5月の商品果収量が増加することが明らかとなった.