2016 年 15 巻 4 号 p. 409-415
LEDのFR光源を用いたEOD-FR処理と栽培時期がアブラナ属植物の生育および形質に及ぼす影響をコマツナ,チンゲンサイ,シマナおよびレッドマスタードを用いて,沖縄県における栽培適期(冬期),栽培不適期(盛夏期)および中間期(春期)について調査した.どの品目も栽培時期に関わらず,弱照射区が対照区に比べて,総新鮮葉重および葉面積が増加する傾向にあった.コマツナに関しては,栽培適期においては,弱照射区で初期生育は促進されたが,その後の生育は栽培適期および中間期では有意差が見られなかった.また,栽培適期および中間期に比べ,著しく生育が低下する生育不適期には強照射で生育が対照区の2倍以上に増加した.レッドマスタードに関しては,コマツナ同様,栽培不適期ではEOD-FR処理を行うと対照区よりも生育は多少増加したが,他の時期に関してはEOD-FR処理により総新鮮葉重および葉面積に関して有意差が出るほど増加することもなかった.また,シマナとチンゲンサイはEOD-FR処理により,茎の伸長が認められた.シマナに関しては,FR光放射照度が強いほど茎がより伸長し,抽苔する株も多いことがわかった.