2016 年 15 巻 4 号 p. 401-407
葉面に貼付けることによって,葉からの蒸散作用による水分との反応によるシート表示面の色の変化(青から薄桃色)から樹体の水分状態を判断ができる ‘水分ストレス表示シート’ について,落葉果樹のモモ,ブドウおよびニホンナシ,ならびに常緑果樹のウンシュウミカンにおける水分状態の評価を試み,供試したそれぞれの樹種においては貼付けから色変化完了までの時間により水分状態をおおよそ判断できると考えられた.
すなわち,ブドウ,モモ,ニホンナシにおいて,十分な水分状態での‘水分ストレス表示シート’の色変化完了時間は100~110秒以下であり,十分な水分状態から蒸散速度が50~60%減少する水分ストレス状態では約200秒であった.一方,ウンシュウミカンではそれぞれ約130秒以下,ならびに230秒であったことから,これらの樹種においては貼付けから色変化完了までに要する時間を計測することにより水分状態の簡易な判断が可能であると考えられる.モモにおいて実際の圃場条件で用いて検証した結果,蒸散速度で示した樹体の水分状態の評価結果と一致することが示された.実際の計測では十分な蒸散を行いうる日射量など一定の条件下での測定を行うことが必要である.