2017 年 16 巻 1 号 p. 79-87
ニホンナシ ‘あきづき’ および ‘王秋’ の果実に生じるコルク状果肉障害の発生状況について,果実を5 mm厚に薄くスライスして詳細に調査を行い,成熟期や果実品質との関係を解析するとともに,GA処理の影響について調査した.両品種ともにコルクの発生が認められ,‘あきづき’は成熟の遅い果実に発生が多かった.本試験では,‘王秋’は‘あきづき’ほど成熟時期による違いは明確ではなかった.一方,両品種ともに果実重の大きい果実で発生が多く,特に‘あきづき’では大きい果実ほどコルクの個数が増加し,大きいコルクの発生も多くなった.コルクの発生位置は,果実全体に分布していたが,赤道面よりややこうあ部側に最も多く観察された.GA処理は,両品種ともにコルクの発生個数を有意に増加させ,障害程度を重症化させた.ただし,コルクの発生果率には影響を及ぼさなかった.