2017 年 16 巻 3 号 p. 309-315
キクにおける効果的な電照栽培技術を確立するためには,どの時間帯にどれぐらいの長さで光照射を行えば最も効果が高いかについて明らかにする必要がある.そこで,暗期開始から効果の高い電照時間帯までの時間(Dusk-NBmax),電照時間帯および電照の長さと花芽分化抑制効果の関係を秋ギク‘神馬’および夏秋ギク‘岩の白扇’を用いて検討した.‘神馬’および‘岩の白扇’のDusk-NBmaxは,それぞれ10時間15~25分および7.5~8時間であった.電照の時間帯は,両品種ともに,Dusk-NBmaxの0.5~1時間後を終点として前に延長する方法が効果が高かった.電照の長さは,両品種ともに,電照時間を長くすると効果が高くなったが,一定時間以上長くすると逆に効果が低下した.長時間電照による効果の低下については,明期終了から電照開始までの暗期の有無が関与している可能性が考えられた.以上の結果をふまえて,実用的に花芽分化抑制効果の高い電照時間帯は,秋ギク‘神馬’および夏秋ギク‘岩の白扇’ともに概ね暗期開始4時間後から,品種固有のDusk-NBmax + 0.5~1時間までの範囲であることを提示した.