園芸学研究
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土壌管理・施肥・灌水
冠水の時期と時間,品種の違いならびに湛水後の液肥かん注処理がレタスの生育,収量に及ぼす影響
中野 伸一西野 勝河井 孝文村上 和秀
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2018 年 17 巻 2 号 p. 171-177

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抄録

夏から秋にかけて作付けする露地野菜においては,短時間強雨や台風に遭遇しやすく,圃場の冠水による被害は大きい.ここでは,レタスを冠水処理し,その時期と時間の影響や品種の違い,湛水後の液肥かん注による生育の回復効果について検討した.冠水処理の時期と時間の違いについて,レタスの生育ステージが結球前(葉齢13程度)までの生育前半の影響が大きく,12時間までの冠水処理では結球重が小さく,24時間の冠水処理ではすべて枯死した.一方,生育後半の結球初期(葉齢18程度)12時間までの冠水処理では,結球重への影響は小さかったが,収穫前(葉齢35程度) の冠水では,泥の付着により商品性が低下した.8月下旬播種作型における品種の違いについて,‘ハミングチャウ’は湛水処理による結球重の低下がなく,優れた耐湿性を示した.湛水後の対策として,実際の台風接近に合わせて,結球前(葉齢16程度) と結球初期(葉齢18程度) の2回の6時間湛水処理した区に対して,尿素の50倍液50 L・a–1を株元に施用すると,結球重が12%,球体積が33%大きく,無処理区と同等となり,事後対策として有効と考えられる.

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