園芸学研究
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栽培管理・作型
ホウレンソウの品種および栽培の違いが加熱後の葉色の保持に与える影響
片岡 園本城 正憲高畑 義人由比 進
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2018 年 17 巻 2 号 p. 199-210

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抄録

ホウレンソウの加熱後の光照射による葉色変化に関する知見を得るため,48品種を用い栽培条件を変え,外観形質および品質成分について調査を行った.伸長性,Brix糖度,総ビタミンC含量について大きな品種間差異があったが,これらの形質と葉色との間には密接な関係は見られなかった.葉色とクロロフィル含量とはすべてではないが複数の栽培条件で有意な正の相関が見られた.品種の葉色は異なる栽培条件においても安定しており,栽培条件による葉色の変動は少なかった.寒締め栽培では秋播きよりも葉色が濃くなったが,クロロフィル含量には有意差がなく,葉は有意に厚くなったため,濃さは葉の厚みによる単位面積当たりのクロロフィル含量の増加と推察された.加熱・光照射後の葉色と生鮮葉の葉色との関係を調査したところ有意な正の相関が見られた.生鮮葉,加熱・光照射下ともに明度および彩度が低く,色相角度が大きい品種を官能で葉色が濃いと評価することが多く,生鮮葉で濃い品種は加熱・光照射下においても濃いと評価された.生鮮時に葉色が濃い品種を選択することで加熱後も良好な葉色を保持することが可能である.寒締めによりBrix糖度,総ビタミンC含量は増加したことから,寒締め栽培により葉色が濃くかつ内容成分が優れるホウレンソウを得ることが可能である.

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