園芸学研究
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栽培管理・作型
平棚で栽培したマルバカイドウ台リンゴ樹における果実収量と果実品質の経年変化
伊藤 大雄
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2018 年 17 巻 2 号 p. 191-197

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抄録

平棚を利用した低樹高栽培によりリンゴ栽培の省力化を図るため,2004年にマルバカイドウ台木の‘ふじ’‘つがる’ならびに‘こうこう’の大苗を合わせて30本,高さ1.8 mの平棚施設に400樹・ha–1の密度で定植し,H字形仕立てに整枝しながら9年間にわたって収量や果実品質などを調査した.各品種の収量は植付5~6年目に現地の平均収量(22 t・ha–1)を超え,植付9年目には2品種が現地の目標収量(35 t・ha–1)に到達するなど,開心形仕立てに比べて早期成園化が実現した.しかし,7~9年目の平均収量は目標収量の71~81%にとどまり,成木の開心形樹より劣った.平均1果重と糖度は各品種とも経年的に増加し,研究終了時には開心形樹より大玉で平均糖度が13°あるいは14°以上の果実が生産された.一方,平棚栽培のリンゴ樹は徒長枝の発生が極めて多く,摘心や夏季剪定を実施して対応したが,とりわけ主幹近くの側枝における花芽の減少を招いた.さらに花芽の減少は翌年の果実数の不足と低収量につながった.そのため,今後の課題として,徒長枝の発生が抑制されるように栽培体系を改良する必要性が認められた.

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