2019 年 18 巻 3 号 p. 289-294
湯剥きはキウイフルーツの簡易剥皮法として有望である.本研究では,その実用性を評価するため,果実熟度が湯剥きの成否に及ぼす影響,作業性,果実品質についてそれぞれ検討した.その結果,湯剥きは適熟より進んだ果実で可能であり,供試した3品種(‘ヘイワード’,‘レインボーレッド’,‘静岡ゴールド’)いずれでも可能であった.湯剥きは包丁による包丁剥きに比べて剥皮作業時間の短縮や果実の利用部分の増加といった長所があった.果実の表面積は増加するものの,果実硬度,糖度,クエン酸含量,アスコルビン酸含量に差はみられなかった.果肉色は湯剥きすることにより変化はみられたものの,褐変やくすみは確認されなかった.以上から,果実品質の低下はみられないと判断された.このことから,湯剥きは実用性が高く,剥皮作業を改善できることが期待できた.