滋賀県在来の12品種の赤カブは,アントシアニジンがペラルゴニジンのカブ(7品種,朱赤色)とシアニジンのカブ(5品種,紫赤色)に分けられた.前者は湖北・湖西北部に分布し,後者は湖東に分布していた.アントシアニンは,ペラルゴニジン含有カブ品種では,カブ全球の主に表層に存在し,シアニジン含有カブ品種では主に地上露出部の顕色部に存在していた.カブの皮層の単位体積当たりのアントシアニン含量は,ペラルゴニジン含有カブ品種がシアニジン含有カブ品種よりも多かった.‘信州カブ’と‘木曽紅カブ’の酸性メタノール抽出液では可視部吸収スペクトルに加え,400 nm以下の紫外部吸収スペクトルが近似し両カブ品種間の近縁性が示唆された.