園芸学研究
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栽培管理・作型
根圏土壌アッセイ法によるニホンナシのいや地リスクの評価
戸谷 智明藤井 義晴鈴木 健
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2020 年 19 巻 1 号 p. 21-27

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抄録

ニホンナシ改植園地では,いや地現象と呼ばれる生育不良が発生しており,その対策を立てるためにいや地リスクを把握する必要がある.そこで,アスパラガス植付土壌のいや地検定に用いられている根圏土壌アッセイ法を活用し,ニホンナシのいや地リスクを評価する方法を検討した.まず,いや地リスクが段階的に異なる土壌に対する根圏土壌アッセイ法の反応や樹体生育への影響を試験した.ニホンナシの連作土を3/4,1/2,1/4,1/8および1/16と新土で希釈し,根圏土壌アッセイ法で測定した結果,土壌の阻害率は希釈倍率に応じて75.6%から18.3%に低下した(y = 12.9ln(x) + 11.5,r = 0.97,x:連作土の割合,y:土壌の阻害率).このことから,レタス根の伸長量を基準としてニホンナシのいや地リスクを検定できると考えられた.次に,いや地リスクの異なる土壌で栽培した樹体生育の関連性を明らかにするため,ニホンナシの連作土を3/4,1/2および1/4と新土で段階的に希釈して作成した土壌に,ニホンナシ1年生苗木を植え付け,生育を調査した.その結果,地上部の生育は新土の希釈率が高いほど増加したことから,根圏土壌アッセイ法は,ニホンナシのいや地現象の発生リスクを評価する方法として有効であることが明らかになった.また,圃場内に植栽されたニホンナシ樹の周辺土壌を根圏土壌アッセイ法で測定したところ,主幹からの距離が近く,深さが浅いほどいや地リスクが高まることが明らかになった.

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