園芸学研究
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育種・遺伝資源
ボタンにおけるRAPDマーカーを用いた実用的な品種識別法の確立
持田 耕平加古 哲也杉山 万里中務 明小林 伸雄
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2020 年 19 巻 2 号 p. 121-129

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抄録

ボタンにおける実用的な品種識別方法を開発するため,『牡丹名鑑』に掲載されている353品種についてRAPD分析を行った.29種類のプライマーから品種間で多型を示す48個のRAPDマーカーが得られた.これらのマーカーを用いることにより,8組18品種の枝変わりと原品種および異名同品種と示唆される1組2品種を除く,すべての品種の識別が可能であった.さらに遺伝的関係が近い親子品種やきょうだい品種の識別が可能であった.各品種群の品種ごとのバンドパターンデータを比較した結果,品種群に特異的なバンドが検出された.開発したマーカーの有効性を検証するために,ボタン品種園における品種鑑定を行った結果,91.4%の調査個体において,RAPDマーカーのバンドパターンから推定される品種名とラベルに記載された品種名が一致した.以上の結果,本研究で開発したRAPDマーカーがボタンの品種管理に有用であることが示された.

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