園芸学研究
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発育制御
‘太田ポンカン’とタチバナにおけるフラベド中フラボノイド含量の経時変化
山家 一哲濵﨑 櫻中嶌 輝子
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2020 年 19 巻 2 号 p. 183-188

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抄録

‘太田ポンカン’およびタチバナについて,フラベド中のフラボノイドとしてポリメトキシフラボン3種(ノビレチン,タンゲレチン,シネンセチン)ならびにヘスペリジン含量(濃度)を7月から12月にかけて経時的に3年間(タチバナは2年間)調査した.その結果,これらのフラボノイド含量は‘太田ポンカン’,タチバナのいずれにおいても7月に最も高く,12月に最も低かった.また,これらのフラボノイド含量は採取時期が遅くなるにつれて減少する傾向があった.12月の‘太田ポンカン’のノビレチン含量を7月と比較すると,その減少率は調査した3か年でそれぞれ74%,46%,40%であった.果実1個のフラベド当たりのノビレチン含量は,フラベド重の増加(果実の成長)に伴い12月に最大値をとる年と,フラベド重増加より濃度の減少率が強く影響して9月に最大となる年がみられた.以上の結果から,PMFs高含有品種である‘太田ポンカン’とタチバナは,通常の収穫期よりも早い時期(7~9月)に収穫することで,フラボノイド類の効率的な抽出につながることが示唆された.また,フラボノイド含量の変化と果実発育,代謝経路の変化や気象要因との関連性についても今後明らかにする必要があると考えられた.

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