園芸学研究
Online ISSN : 1880-3571
Print ISSN : 1347-2658
ISSN-L : 1347-2658
育種・遺伝資源
茨城県特産赤ネギ品種 ‘ひたち紅っこ’ に含まれるフラボノイドの同定と抗酸化活性評価
水野 貴行中根 理沙貝塚 隆史石川(高野) 祐子立澤 文見井上 栄一岩科 司
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 19 巻 3 号 p. 237-245

詳細
抄録

赤ネギ品種 ‘ひたち紅っこ’(Allium fistulosum ‘Hitachi-benikko’)は地下部の葉鞘が鮮やかな赤色を呈する長ネギで,茨城県北 部城里町(旧桂村)圷(あくつ)地区で栽培される地方野菜から育成された.本研究では,赤ネギ品種 ‘ひたち紅っこ’ において,地下部のアントシアニンとフラボノールを同定するとともに,総ポリフェノール量と抗酸化能を測定し,抗酸化食品としての有用性を調査した.その結果として,赤ネギ品種 ‘ひたち紅っこ’ のアントシアニンとフラボノールについては,1種類の新規化合物(Cyanidin 3-O-(3″-O-acetyl-6″-O-malonyl)-glucoside)を含む4種類のアントシアニンと5種類のフラボノールを単離し,化学および分光分析により同定した.新規のアントシアニンは ‘ひたち紅っこ’ の地下部における主要アントシアニンであった.フラボノールについては,単離した4種類がいずれもQuercetinを基本骨格としていた.また,総ポリフェノール量と抗酸化能を測定した結果,赤色の地下部は,‘ひたち紅っこ’ の地上部や,白ネギ品種の地上部および地下部と比べて,高い総ポリフェノール量と抗酸化能(H-ORAC)の値を示した.これらの結果は赤ネギ品種 ‘ひたち紅っこ’ において,食品の機能性の面から付加価値を与えると考えられる.

著者関連情報
© 2020 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top