園芸学研究
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土壌管理・施肥・灌水
培養液中NaCl濃度がピートバッグ栽培イチゴの生育,収量と品質に及ぼす影響
吉田 裕一宮田 英幸後藤 丹十郎
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2003 年 2 巻 3 号 p. 171-174

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抄録

培養液に使用可能な原水中塩濃度の限界を明らかにするため,イチゴ‘女峰’をピートバッグ(28 × 80 cm,培地量18 liter,8株植え)で栽培し,水道水(EC15 mS/m; Na, 0.35; Cl, 0.29 mM)で作成した培養液へのNaCl添加がイチゴの生育,収量に及ぼす影響について検討した.NaCl (0, 4, 8, 12 mM)以外の基本培養液濃度(NO3-N, 8; NH4-N, 0.85; P, 0.85; K, 3.8; Ca, 2.05; Mg, 0.93 mM)は,季節に応じて50~100%の間で変化させた.葉柄中のNaとClの濃度は,NaCl濃度が高くなるほど高くなった.果実の糖濃度と滴定酸度は,対照区が最も高かったが,NaCl濃度による差は認められなかった.12 mM区では各花房1番花のガクにチップバーンが多発し,平均果実重と総収量が他の3処理区より低くなった.8 mM区でも,チップバーン発生が増加する傾向にあったが,総収量は対照区とほぼ同等であったことから,NaClやその他のイオンを含む場合であっても,原水のECが8 mM区に相当する100mS/m程度までであれば,ピートバッグでイチゴ栽培に利用できる可能性が高いと考えられる.

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© 2003 園芸学会
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