2003 年 2 巻 4 号 p. 311-314
ブルームレスキャベツ品種‘優緑’の生育,収穫物特性,および葉面の可視特性,物理的性質,微細構造をブルームを生じる一般的な品種‘錦秋’と比較検討した.
走査型電子顕微鏡で観察した結球葉面は,‘錦秋’が層状の結晶状物質で覆われていたのに対し,‘優緑’は非常に滑らかで結晶状物質はほとんど見られなかった.外葉および結球表面葉の葉色は,‘優緑’が‘錦秋’と比べてL*値(明度)とa*値(色相)が小さく,b*値(彩度)が大きかった.結球葉の葉色には,差異はみられなかった.外葉,結球葉の光沢度(GS75˚)は表裏とも‘優緑’が‘錦秋’と比べて高かった.水滴滴下による外葉,結球葉の接触角θは,‘優緑’が91~104˚と‘錦秋’が130˚前後であるのに比べて小さかった.なお,‘優緑’の結球重は‘錦秋’と比べてやや軽かったが,その他の生育,収穫物特性,病害虫の発生に大きな差異はなかった.‘優緑’のこの葉面の特性は,色と光沢による差別化が図れ,農薬散布量低減の可能性のある有利な形質と考えられる.