ジネンジョ ‘稲武2号’ の窒素吸収特性を明らかにするため,窒素施肥量を変え,各時期の部位別の乾物重および窒素吸収量を調査した.茎葉の乾物重および窒素吸収量は7月から8月にかけて大きく増加し,8月にはほぼ最大に達した.一方,新生芋の乾物重および窒素吸収量は8月以降,漸次増加した.部位別の窒素吸収量の合計値は9月に最大となったことから,9月までの窒素供給がジネンジョの生育には有効であると考えられた.特に,茎葉の生育が増大する7月から8月までの窒素供給が重要と考えられた.
窒素を無施肥で栽培した新生芋の重量,Brixおよび粘度は,窒素施肥(30 g-N・m–2)した場合と同程度であった.試験土壌からの窒素無機化量の推定値は,各時期の窒素吸収量の合計値よりも多かった.また,ポリマルチ敷設を行えば土壌中の窒素を無施肥としても土壌からの窒素供給で必要な窒素量を賄える可能性が示唆された.