園芸学研究
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土壌管理・施肥・灌水
収穫直前の培養液へのグリシン添加は水耕栽培ホウレンソウの硝酸塩とシュウ酸塩を同時に低減させる
名田 和義平塚 伸
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2021 年 20 巻 1 号 p. 57-63

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抄録

水耕栽培ホウレンソウにおいて,収穫直前のアミノ酸添加処理による硝酸塩とシュウ酸塩同時低減の可能性を示すため,収穫7日前に,培養液にグルタミン(1,2,3,4および5 mM),グリシン,グリコール酸およびグリオキシル酸(それぞれ1,3および5 mM)を添加し,ホウレンソウ葉の硝酸塩およびシュウ酸塩濃度,硝酸代謝,アミノ酸代謝およびシュウ酸代謝活性を調査した.グルタミン,グリコール酸およびグリオキシル酸添加処理は添加濃度が高まると培養液が白濁し,このことが原因となって地上部(葉身 + 葉柄)新鮮重が低下した.グリシン添加処理による地上部(葉身 + 葉柄)新鮮重への悪影響はなく,添加濃度5 mMにおいて,葉身の硝酸塩および可溶性シュウ酸濃度が同時に低下することが示された.グリシン添加によってNR活性が低下したが,これは基質である硝酸塩の低下が原因であると考えられた.グリシン添加による硝酸塩およびシュウ酸塩の同時低減は,硝酸塩の低下によりNRの活性が低下し,硝酸還元反応がなくなったことで,中和剤としてのシュウ酸の役割が低下したために起こったと考えられた.

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