園芸学研究
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育種・遺伝資源
ブバルディアにおけるin vitroでの好適な花粉発芽条件の確立および花粉特性と稔性との関係性の評価
宮下 智人小坂井 宏輔
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2021 年 20 巻 2 号 p. 149-156

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抄録

ブバルディアの遺伝資源では,花粉親としての交配結果に基づき雄性稔性の程度が評価され,品種・系統間差の大きいことが明らかとなっているが,より簡便な稔性評価法の確立が望まれる.そこで花粉の量,形態および人工培地での発芽能力を調査し,雄性稔性との関係性を評価した.まず,B. ternifoliaおよびB. longifloraを用いて花粉発芽に影響する種々の培養条件を検討し,好適な条件としてショ糖濃度10%,温度25°C,培養4時間,明条件を得た.次に,B. ternifoliaB. longiflora,ハイブリッド系の4倍体および8倍体品種,倍数体系統,計24品種・系統を用いて,種々の花粉特性を調査した.高稔性のB. ternifolia(8x),B. longiflora(8x)およびB. longifloraの倍数体系統(16x)では総じて花粉量が多く,健全花粉率が高く,発芽能力が高いのに対し,低稔性か不稔のハイブリッド系4倍体品種とその倍数体系統(8x)では花粉量が少なく,発芽能力はほぼ皆無であった.雄性稔性の品種間差の大きいハイブリッド系8倍体品種では,健全花粉率および発芽能力の品種間差が大きかった.花粉発芽率および花粉管長と雄性稔性との間には高い正の相関がみられ,雄性稔性の高低には主として花粉の発芽能力が影響することが示唆された.また,花粉管長と雄性稔性の間の一次回帰式で高い決定係数が得られたことから,花粉管長は雄性稔性を推定する指標として利用できると考えられた.

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