園芸学研究
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栽培管理・作型
高位接ぎ双幹形に仕立てた ‘青島温州’ 幼木樹の生育,着花特性
山家 一哲江本 勇治中村 明弘古屋 雅司
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2021 年 20 巻 2 号 p. 163-170

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抄録

カンキツ栽培において規模拡大を行う場合,作業効率の劣る樹形や,改植後すぐに収穫できないことが問題となっている.本研究では,作業しやすく早期に安定した収量・品質を確保できる樹形を開発するため,双幹形仕立てと高位接ぎ(接ぎ木高さ30 cm)を組み合わせた ‘青島温州’ 幼木樹の生育と着花特性について検証した.双幹形区(接ぎ木高さ5 cm)では開心自然形区と比較して葉数が多く,樹冠容積が大きく推移した.また,高位接ぎ(接ぎ木高さ30 cm)双幹形区は,定植1年後の着花数が多く,2年目以降の有葉花率が高くなる傾向にあった.定植3年後における新梢数は,高位接ぎ双幹形区が双幹形区と比較して有意に少なかった.着果1年目,2年目の果実品質は,仕立てと接ぎ木高さによる違いはみられなかったが,双幹形の2区は開心自然形区と比較して果実階級(横径)が小さくなるとともに,高位接ぎ双幹形区では地上部90 cmより上に着果した果実割合が高いことが示された.以上のことから,‘青島温州’ の双幹形仕立て(高位接ぎを含む)は開心自然形よりも樹冠容積が増加し,初期生育が早くなる利点があり,さらに高位接ぎ双幹形では開心自然形区と比較して有葉花率が高く推移すると考えられた.

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