園芸学研究
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栽培管理・作型
四季成り性イチゴへの間欠的な長日処理が腋芽の葉数,連続出蕾性および収量に及ぼす影響
矢野 孝喜木下 貴文山崎 浩道長菅 香織山崎 博子稲本 勝彦濱野 惠本城 正憲森下 昌三吉田 裕一
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キーワード: 腋芽葉数, 花房, 日長, 温度
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2021 年 20 巻 2 号 p. 171-177

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抄録

四季成り性イチゴを利用した夏季冷涼な東北地域における夏秋期の生産安定化のために,花成誘導と栄養成長の確保が両立する長日処理方法の開発を目指して,主に ‘なつあかり’ の一年生苗および低温遭遇後の株を用いて間欠的な長日処理方法について検討した.その結果,連続出蕾性が弱い ‘なつあかり’ 一年生苗では,24時間日長を2週間ごとに間欠的に処理した場合に,24時間日長とした場合より腋芽の葉数が増加した.低温遭遇後の‘なつあかり’株では16時間または隔日20時間日長処理を行うことで,連続的に花房を発生させつつ腋芽に適度な葉数を着生させることができた.一方,連続出蕾性が強い ‘とちひとみ’ 株では低温遭遇後の長日処理は不要であると考えられた.さらに,‘なつあかり’ 株へ2週間ごとに24時間日長と自然日長とを繰り返す間欠24時間日長処理を行うことで,24時間日長処理と同等の花房数と収量を得られ,葉の着生がない腋芽の発生を抑制することができた.以上のことから,夏秋どりイチゴ栽培において,連続出蕾性の弱い四季成り性品種について間欠24時間日長処理を行うことで,連続出蕾性と腋芽の葉数を確保でき,長期間の生産安定につながると考えられた.

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