園芸学研究
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作物保護
ステビア熱水抽出発酵液の葉面噴霧によるイチゴ灰色かび病および炭疽病の抑制効果
松本 雄一小島 礼好
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2021 年 20 巻 2 号 p. 225-231

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抄録

特殊肥料であるステビア熱水抽出発酵液ファームAによる病害抑制効果について調査を行った.イチゴ灰色かび病および炭疽病に対しては0.1%から1%の濃度ではDBEDC乳剤およびプロピネブ水和剤と同等の効果を示し,さらに残効期間はDBEDC乳剤の5日に対して10日と長い結果となった.一方で,培地上において灰色かび病菌に対してDBEDC乳剤は抗菌作用を示すものの,ステビア熱水抽出発酵液は無処理と同様に抗菌作用が見られなかった.そこで,抵抗性誘導の観点から調査を行った.ステビア熱水抽出発酵液をキュウリ2葉期の苗全体に対して処理を行った結果,イチゴと同様灰色かび病に対する抑制効果が見られた.さらに,第1葉のみに対する局所処理を行った場合でも処理を行っていない上位葉で灰色かび病抑制効果が見られた.また,第1葉に対して処理を行った際には,POX遺伝子の発現量が増加した.複数の病害に対して効果を示すことや,残効期間が長いこと,局所的な処理によっても効果が見られること,また関連遺伝子の発現量が増加したことからステビア熱水抽出発酵液による灰色かび病および炭疽病の抑制はSARによる可能性が考えられた.

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