園芸学研究
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収穫後の貯蔵流通
ニンジンの形態的特性と水分含量によるカロテン含量推定の試み
中川 祥治
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2021 年 20 巻 3 号 p. 341-349

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抄録

ニンジンのカロテン含量を,一般の分析法によらず簡易に把握することを目途とし,収穫したニンジンの特性とカロテン含量の関係を分析した.供試ニンジンは静岡県伊豆の国市において1998および1999年に栽培した ‘本紅金時’,‘向陽二号’,‘新黒田五寸’ である.カロテン含量を従属変数,根色(L*, a*, b*),水分,形状および生育量を独立変数として重回帰分析を行った.その結果,α-カロテン含量(‘本紅金時’ を除く)は独立変数を根直径および根水分とした最適式であっても精度は低かった(R2 = 0.692, RPD = 2.1)が,β-カロテン含量は独立変数を根直径,根水分および葉重とした場合に高い精度(R2 = 0.931, RPD = 3.7)の推定式が得られた.ただし,共分散分析の結果から ‘向陽二号’ と ‘新黒田五寸’ のβ-カロテン含量推定式はわずかに異なることが示唆された.また,十分な精度の推定には,同じ条件で栽培されたニンジン15個体の平均値を用いる必要があったことから,この推定式は,個々のニンジンのカロテン含量の予測は難しいものの,群落単位間の比較には適応できる可能性があった.

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