園芸学研究
Online ISSN : 1880-3571
Print ISSN : 1347-2658
ISSN-L : 1347-2658
収穫後の貯蔵流通
二酸化炭素吸着剤を同封したポリエチレン包装によるカキ ‘太秋’ 果実の長期貯蔵
鈴木 哲也新川 猛杉浦 真由櫻井 直樹中野 浩平
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 20 巻 3 号 p. 333-340

詳細
抄録

カキ ‘太秋’ のお歳暮商品への対応を図るため,低温とフィルム包装の組み合わせによる長期貯蔵技術の開発に取り組んだ.‘太秋’ を0.06 mmのポリエチレン袋に個包装して0°Cで貯蔵すると,貯蔵後51日でも果肉硬度を十分保持することができたが,貯蔵中に異臭が発生して食味が低下した.異臭は,酸素透過度の高い微細孔フィルムに包装しても発生したが,二酸化炭素吸着剤を同封した包装では顕著に抑制された.さらに,貯蔵環境に酸素が十分に存在しても,二酸化炭素濃度が高まるとエタノールが生成されることを認めた.これらのことから,‘太秋’ の低温・フィルム包装による長期貯蔵には,呼吸による二酸化炭素が包装内に蓄積しないような工夫が必要であり,二酸化炭素吸着剤の同封が有効であった.二酸化炭素吸着剤5 gを同封して厚さ0.06 mmのポリエチレン袋に個包装し,0°Cで貯蔵すると,12月中旬まで異臭を抑えながら弾性指標を保持できることが示された.

著者関連情報
© 2021 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top