2022 年 21 巻 1 号 p. 65-71
北部九州の冬季イチゴ栽培において,日中加温がイチゴ‘さがほのか’の収量および光合成,光合成産物の転流・分配に及ぼす影響を明らかにし,日中加温の有効性を検証した.栽培試験の結果,18°Cの日中加温により12~2月の商品果果数および収量が増加することが確認された.第一次および第二次腋果房頂果の成熟日数は,日中加温処理によりそれぞれ5日間程度短縮された.また,増収の生理的な要因を検討するため,物質生産の基盤となる光合成速度および光合成産物の転流・分配について調査した.その結果,冬季曇天日におけるハウス内日中加温温度を想定した18°Cおよび日中加温なしを想定した13°Cの葉温における光合成速度は,PPFD 300 μmol・m–2・s–1以上で,葉温13°Cよりも18°Cにおいて高い値を示した.日中の弱光条件下における13C-光合成産物の転流率は,13CO2施与後8時間後および24時間後において,いずれも昼温18°Cが13°Cより有意に高い値を示した.一方,昼温18°Cおよび13°Cともに13C-光合成産物の分配パターンは同様であった.以上の結果から,北部九州の冬季イチゴ促成栽培において日中18°Cの加温により,12~2月の商品果収量が増加し,日中加温が有効であることが示された.また,増収の生理的な要因を検討した結果,日中の温度を高めることが,光合成および光合成産物の転流を促進していることが明らかになった.