園芸学研究
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発育制御
秋色アジサイがく片における色素合成と発色機構
小玉 雅晴井上 博道中山 真義
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2022 年 21 巻 1 号 p. 73-81

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抄録

アジサイのがく片は季節的な花色変化を示す.夏季の開花始めにはデルフィニジン系アントシアニンを主要色素とする赤色や青色を発色し,経時的に緑色に変化した後,秋季には緑色に重ねて再び赤色や紫色を発色する.本研究では,近年園芸的価値が高まりつつある秋色アジサイの花色について,色素生合成と発色機構の特徴を明らかにしようとした.秋色の発色を担う色素は,新たに主要色素として同定したシアニジン3-ラシロサイドを含む,シアニジン系のアントシアニンであった.秋色のがく片は光が当たらない部分が着色しない,夏色では覆輪模様を形成する部位にも均一に発色するという特徴が見られた.秋色では,発色団を含むアントシアニンの構造,および光要求性,部位特異性といった色素生合成の制御機構が夏色とは異なることが明らかになった.対照的に,秋色と夏色の発色機構には類似性が認められた.すなわち,青色の色調の発色はアントシアニンと5-O-カフェオイルキナ酸によるアルミニウムイオンのキレート構造の形成によること,一方で赤色の色調の発色にはこのキレート構造の形成を阻害する化合物が関与する可能性が示された.この類似性により,同じ植物において秋と夏で相関をもった色調が発現すると考えられた.

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