氷点下での長期貯蔵を経たニンニクにおいて,りん片の表面が陥没する「くぼみ症」と呼ばれる障害が発生することがあり問題となっている.これまでの研究において,収穫後の乾燥処理方法と氷点下貯蔵の温度と期間がくぼみ症の発生に関与していることが明らかとなっている.本研究では,くぼみ症の症状が顕在化する過程を明らかにすることを目的に,くぼみ症が誘導される条件で乾燥と貯蔵を行ったニンニクりん茎を用いて,くぼみ症の発生過程について組織学的な解析を行った.くぼみ症の程度が軽いりん片の表面では,りん片先端付近において鉛直方向の陥没によりいくつかの溝が生じていた.症状の深刻なりん片では,りん片の底部付近にまで陥没部位が拡大していた.軽度の症状のりん片では,表皮から2,3層目の細胞群における細胞の崩壊が認められた.くぼみ症の症状が深刻なりん片ほど,崩壊の生じた細胞層が増大していた.障害部位の内部組織において,氷結晶の形成の痕跡は見られなかった.本研究による組織学的な解析の結果,くぼみ症は組織内での氷結晶の形成により生じる障害ではなく,その他の要因で誘導されることが示唆された.