2022 年 21 巻 3 号 p. 269-278
耐裂果性を有する生食用ブドウ(Vitis spp.)の育種効率向上を目的とし,初結実時に裂果なしを示す子個体の出現率(以下,出現率と省略)をロジスティック回帰分析で推定した.適切な説明変数を得る予備的な解析として,実生集団において裂果性を応答変数に,果粒重,脱粒性,着粒の粗密,果皮と果肉の分離,果肉特性,果肉硬度を説明変数にして,交雑区分(アメリカブドウまたは欧米雑種間の交雑,欧米雑種とヨーロッパブドウ間の交雑,ヨーロッパブドウ間の交雑)ごとにロジスティック回帰分析を行った.その結果,欧米雑種とヨーロッパブドウ間の交雑,ヨーロッパブドウ間の交雑において,裂果性に果粒重および果肉特性が強く関連していることが示唆された.この結果に基づき,裂果性,果肉特性および果粒重の平均親値と交雑区分を説明変数とし,出現率を応答変数にロジスティック回帰分析を行い,最適なモデルを検討した.このうち予備的な解析において裂果性との関連が示唆された果粒重は有意とならず,出現率に影響を及ぼさなかった.出現率を推定するために最適なモデルは,裂果性および果肉特性の平均親値を説明変数に用いたモデルであった.出現率は,裂果性の平均親値が低くなるほど,果肉特性の平均親値が高くなるほど(果肉特性が塊状に近づくほど)高くなった.その出現率は,裂果性の平均親値が0(両親がともに裂果(なし))のとき,果肉特性の平均親値2(両親がともに(塊状))で91%,平均親値0(両親がともに(崩壊性))で52%となり,果肉特性の平均親値の違いによって出現率は大きく変動した.