園芸学研究
Online ISSN : 1880-3571
Print ISSN : 1347-2658
ISSN-L : 1347-2658
土壌管理・施肥・灌水
クリ幼木に対する高畝栽培およびマルチ被覆の凍害軽減要因の解明
水田 泰徳織邊 太神尾 真司松本 和浩
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 21 巻 3 号 p. 279-286

詳細
抄録

近年,クリの新植の増加とともに水田転換園や造成地では凍害が多発している.これらの園地における凍害対策として普及が進んでいる高畝および高畝とマルチ被覆処理を組み合わせた栽培法の凍害軽減要因を検討した.土壌硬度をみると,対照区では土壌深度とともに高まったが,高畝区では深度による変化がみられなかった.樹体生育は,マルチの有無および表面色にかかわらず,高畝区が対照区に比べて優れた.高畝へのマルチ被覆は,表面色にかかわらず土壌含水率を低下させたが,2~4月の枝の含水率にはいずれの処理による影響もみられなかった.2月の1年生枝の芽の耐凍温度は,対照区と比べて高畝黒マルチ区では低下したものの,高畝白マルチ区では低下しなかった.凍害発生状況を調査した結果,対照区では25%の樹が枯死したが,高畝区ではマルチの有無に関わらず著しい被害は発生しなかった.以上の結果から,高畝栽培やそれと黒マルチ被覆の併用処理は,土壌の物理性を改善し,乾燥状態を維持することにより凍害発生を軽減する効果があることが明らかとなった.

著者関連情報
© 2022 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top