2024 年 23 巻 2 号 p. 129-136
本研究では,同一地理上のほ場に客土した低地土と黒ボク土での春まき栽培におけるタマネギの生育と肥大について調査した.供試した5品種すべてにおいて低地土区が黒ボク土区よりも2~10日早く倒伏・収穫が可能であった.生育期間中の経時的な調査では,肥大開始前の草丈や出葉数が低地土区で旺盛になり,早期にりん茎肥大を開始し始めていた.また,生育中期の6月における日平均地温が低地土で高い傾向であった.これらの要因を踏まえて,‘もみじ3号’における栽培年と土壌の処理区について分散分析を行ったところ,低地土が収穫物のりん茎重やりん茎の横径の増大に影響していた.さらに,土壌の物理性から,低地土は黒ボク土に比べて仮比重や固相の分布が高く,液相の分布は,黒ボク土の方が高かったため,より土中の水分量が多い黒ボク土は気化熱による地温上昇抑制や水分量過多による生育抑制が起きる可能性があると考えられた.一方で,これらの影響を受けにくい低地土では,生育旺盛になりやすいと推察された.本研究では,土壌の違いと気象データといった環境要因での生育の違いを調査したが,今後は,環境要因と遺伝的要因の双方に着目して,りん茎肥大を総合的に見ていく必要がある.