園芸学研究
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発育制御
露地電照栽培による夏秋小ギクの安定生産:8月出荷作型における暗期中断打ち切り後の日長に応じた品種選定の重要性
中野 善公津田 花愛山形 敦子足立 陽子佐々木 厚住友 克彦高瀬 智敬久松 完
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2024 年 23 巻 2 号 p. 137-146

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抄録

電照設備と電照栽培適性の高い品種を用い,夏秋季の露地小ギク生産を計画的・安定的に行う技術が開発されている.本研究では,夏秋季の中でも需要が大きい一方で生産が不安定になりやすい8月需要期作型を研究対象とした.消灯後の自然日長と品種の日長反応性に着目し,計画安定生産に適する電照栽培用品種の選定指針を示した.露地電照栽培では消灯後の時期的・地理的な日長の違いが到花日数を変動させる要因の1つであり,特に8月需要期作型では消灯期である6月の長い日長による開花抑制が起こりやすいことを明らかにした.8月需要期作型では,無電照での開花期がそれより早く,電照で十分に花芽分化抑制ができる,という既知の適性品種の選定基準に加え,開花が日長に影響されにくい品種を選定することで安定生産できることを明らかにした.そのためには品種の限界日長を把握し,限界日長が長い品種を用いることが有効であることを示した.

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