園芸学研究
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栽培管理・作型
茎ブロッコリー品種‘スティックセニョール’における摘心時の除去節数の違いが収量,側花蕾の形態および品質に及ぼす影響
佐竹 文肌野 宝星元木 悟
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2025 年 24 巻 1 号 p. 29-36

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抄録

茎ブロッコリーの栽培では,側花蕾の重量が揃わないことによる品質のばらつきや月ごとに形態が顕著に変化してしまうことなどの問題がある.本研究では,高品質な側花蕾を収穫期間を通し安定して生産できる栽培法を提案することを目的に,茎ブロッコリー品種のなかでも,生産規模拡大が期待できる‘スティックセニョール’を用い,頂花蕾から数えて0,3,5および8節で摘心を行う摘心区と,摘心を開花時まで行わない無摘心区の計5試験区において,収量,側花蕾の形態および品質を,2作型でそれぞれ3年間にわたり計6回比較検討した.その結果,可販収量,収穫本数,調製前1本重,調製後1本重および茎径は,無摘心区が摘心区と同等か小さかったことから,‘スティックセニョール’の高品質多収栽培には,摘心が重要であると考える.また,摘心区において,可販収量および収穫本数は,いずれの作型および栽培年においても,0および3節摘心区がほかの試験区と同等か多く,除去節数が増えると低下する傾向であった.側花蕾の葉数および葉重は,0節摘心区がほかの試験区と同等か小さく,除去節数が増えると増加する傾向であった.茎ブロッコリーでは,大きな葉を除去して出荷するため,出荷調製作業の軽減の面から,葉の割合が小さい側花蕾が出荷に適する可能性があり,葉数および葉重がほかの試験区に比べて小さい傾向であった0および3節摘心区は,出荷に適する形態であると考える.以上より,茎ブロッコリー品種‘スティックセニョール’の摘心は,0~3節で行うことが望ましいと考える.

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