園芸学研究
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育種・遺伝資源
キンモウツツジ(Rhododendron oldhamii Maxim.)と日本に自生する常緑性ツツジ種との交配における秋咲き性の遺伝
嬉野 健次山城 秀人モハマド ミザヌルラヒムカーン
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2025 年 24 巻 1 号 p. 21-27

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抄録

キンモウツツジの秋咲き性の遺伝を調査するため,本種を種子親にして6種の常緑性ツツジ種を交配した後代の開花性を調査した.交配親の花芽出現日はキンモウツツジが最も早く,マルバサツキおよびチョウセンヤマツツジが最も遅かった.秋咲きについて,キンモウツツジでは調査したすべての花芽で年内開花がみられた.花粉親に用いた常緑性ツツジ種ではミヤマキリシマおよびフジツツジの一部の花芽で秋咲きがみられたが,そのほかの種では年内開花がみられなかった.F1実生では,いずれの交配組み合わせでも秋咲きする実生が得られた.特に,花芽出現日が早かった常緑性ツツジ種を花粉親に用いた組み合わせほど,秋咲きする実生の割合が高く,かつ実生内で開花する花芽の割合が高くなる傾向がみられた.キンモウツツジとミヤマキリシマとのF1実生を種子親にして別系統のミヤマキリシマを交配したところ,秋咲き性と非秋咲き性の後代が出現し,その第一開花日は7月から翌年の3月まで連続的に分布した.以上の結果より,キンモウツツジのもつ花芽の非休眠性は優性に遺伝すること,実生の花芽非休眠性による秋咲き性は,花芽出現日の影響を受けることが明らかとなった.

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