2025 年 24 巻 1 号 p. 53-62
夏季のミニトマト栽培の安定生産に向け,外部細霧冷房装置を既存のパイプハウスへ後付けした際の環境特性を明らかにしながら,ミニトマトの生育,収量への影響について検討した.その結果,外気と比較して温室内の温度が低下するとともに相対湿度が上昇し,いずれも変動は小さく抑えられた.これにより,葉および花房の発生速度が増加するとともに,個葉面積が大きくなることで受光量が増加したと考えられた.さらに,高温条件の緩和と過剰な蒸散が抑えられることにより,平均果重が増加し生産性が向上した.外部細霧冷房装置は,連続運転ができる点と葉濡れの発生がない点でパッドアンドファンと同様のメリットがある.ただし,既存温室に後付けでき,導入コストを抑えられるため,外部細霧冷房の方が有利であると考えられた.