青森県上北地域において実施された寒地系ニンニク品種‘福地ホワイト’の2011~2021年産栽培試験の結果を用いて,発育ステージと積雪・消雪時期に基づいて生育期間を区分し,各期間における平均的な生育量を数値化した.植付日から長期積雪前までの生育初期は,萌芽揃期が遅いほど越冬前の生育が劣ったが,この時期の生育が総収量に及ぼす影響は小さかった.消雪日からりん片分化期までの生育中期や,りん片分化期から止葉抽出期までのりん茎肥大前期においては,りん片分化期を基準とした地上部の生育(草丈,葉鞘径,生葉数および全重)は多収年と少収年間の差が小さかった.止葉抽出期から収穫期までのりん茎肥大後期は,多収年と少収年の生育の差が大きかった.止葉抽出期以降,多収年は少収年より茎葉重のピークが高くかつ遅く,減少程度が小さく,全重は収穫期まで増加した.多収年では全重に占める茎葉重の割合が高く,総収量の増加には収穫期まで茎葉を維持,充実させる必要があると考えられた.また,多収年は少収年よりりん片分化期が早く,りん茎の肥大開始が比較的遅いが,りん片分化期後50日以降新鮮りん茎重が急激に増加した.