抄録
新花色のアルストロメリア品種育成の基礎データを得る目的で,近年日本で作出された新しい品種の黄赤色系アルストロメリア15品種の外花被の花色とアントシアニン組成を調査した.この独特な黄赤色の花色は,R.H.S.カラーチャートでRed 41~46,色相値(b*/a*)で0.64~1.02であり,15品種の間に大きな差はなかった.しかし,カロチノイドの混同を避けるために0.1%塩酸性メタノールでアントシアニンを抽出した時のアントシアニンの吸収極大と,アントシアニン組成の結果からは,これらの品種には二つのタイプが存在することが明らかとなった.一つは6-ヒドロキシペラルゴニジン3-ルチノシドという黄色味の強いアントシアニンが主要色素となっている黄赤色花グループ(吸収極大波長:493~498 nm)であり,もう一つは6-ヒドロキシシアニジン3-ルチノシドを主成分としたグループ(吸収極大波長:502~509 nm)であった.後者は6-ヒドロキシシアニジン3-ルチノシド以外にカロチノイド等の共存による黄赤色の発現が示唆された.