園芸学研究
Online ISSN : 1880-3571
Print ISSN : 1347-2658
ISSN-L : 1347-2658
育種・遺伝資源
ニンポウキンカン種子へのコルヒチンおよびオリザリン処理が四倍体植物誘導に及ぼす影響
八幡 昌紀柏原 夕希子黒木 宏憲國武 久登小松 春喜
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 3 巻 1 号 p. 11-16

詳細
抄録

ニンポウキンカンの種子を用いた試験管内染色体倍加について検討した.有糸分裂阻害剤であるコルヒチンとオリザリンを様々な濃度や時間で種子に処理し,その後500 mg・liter−1麦芽抽出物を添加したMT培地で培養した.処理2か月後,発芽率を調査し,フローサイトメーターと根端の染色体観察により得られた実生の倍数性を解析した.四倍体実生率は有糸分裂阻害剤の種類,処理濃度および時間に依存しており,本処理条件内では,コルヒチンの方がオリザリンより染色体倍加の効果が高かった.0.05%,48時間でコルヒチン処理を行った時,約50%と最も高い頻度で四倍体を獲得することができた.これらの四倍体の初期成長は貧弱であったが,3年生のカラタチ台に接ぎ木すると二倍体と同様に旺盛な成長を示した.以上のように,胚培養を組合せた種子へのコルヒチン処理は,ニンポウキンカンの四倍体を効率的に誘導できることが明らかとなった.

著者関連情報
© 2004 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top